華麗なる藻一族

シルシル☆モモコサンデー

食用としての藻類はスピルリナを始め、メジャーなのはひじきやわかめなどの海藻ですね。
健康維持に欠かせない栄養成分を含み、繊維質が豊富で、食卓の要となっています。

しかし! 藻類の素晴らしさはそれだけではありません!

“奇跡の星”といわれる地球――この環境を作り出したのは、なんと、藻類なのです。
酸素21%という好気的な大気を作りだしたのは藻。
生物を多様化させたのも藻。
藻がいなければ、地球上に恐竜も人間も存在しなかったのです。

太古のスターといったら、恐竜でしょ? なんて、言っていられません!
地球の歴史の主役は、藻なのです!

というわけで、壮大なる“藻ワールド”の話を伺いに、日本を代表する藻博士、筑波大学井上勲教授を訪れました~♪

「日本の歴史を動かした食用藻!?近代日本は藻で作られた?」


井上 勲 教授

井上 勲(いのうえ いさお)
藻類学者。沖縄県石垣島出身
筑波大学教授。日本藻類学会評議員
専門は藻類学および植物系統分類学

【著書】
『藻類30億年の自然史・第2版藻類からみる生物進化・地球・環境』
(東海大学出版会刊・2007年)

井上教授 「今の地球の環境を作ったのは藻なんですよ。まず、酸素呼吸を行う生物の繁栄を可能にした好気的な大気を作ったのは藻です。有害な宇宙線や紫外線を遮るオゾン層を作ったのも藻、雨を降らす雲を形成するもの藻、世界の文明を支えている鉄の鉱床も、エネルギー源である石油も藻類の活動によってできたものです」
山咲 「世界の最大エネルギー、石油もですか??」
井上教授 「1~2億年ほど前のテーチス海(古地中海)で大増殖した藻と、それを出発点とする食物連鎖に連なる動物ブランクトンの死骸が海底に堆積して変化したものが、今の中東の石油なのです」
山咲 「中東が儲かったのは、藻のおかげですね(笑)」
井上教授

「そうです。“海の藻屑”なんて言葉は使わないで欲しいですね(笑)。

石油は枯渇の危機にせまられていますが、今度は、藻が新エネルギーとして注目されているのです」
山咲 「未来のエネルギーも、藻ですか!?」
井上教授 「アメリカは、トウモロコシや大豆、サトウキビなどのバイオマスを利用してエネルギーを開発してきましたが、穀物の高騰を招くなど多くの問題を招いています。私たちは食糧との競合は無理だと考え、藻に注目しています。筑波大学では、渡邉信教授を中心とする研究チームで、藻のエネルギー開発の研究をすすめています」
山咲 「研究対象の藻は、なんという名前ですか?」
井上教授 「ボトリオコックスという藻です。この藻が出すオイルの特徴は、完全な炭化水素で純度が高く、基本的に重油相当のオイルを産出しています」
山咲 「藻がオイルを、ピュピュと出すんですか?」
―― ここで、ボトリオコックスがオイルを出す瞬間の顕微鏡映像をパソコン上で見せてもらうと……
    ピュッ! ピュッ! と藻の周りから玉状のオイルが無数に出てくるのが見えましたぁああ!


ボトリオコックス


オイルを出すボトリオコックス

山咲 「想像していたより、オイル放出の勢いがすごいですね」
井上教授 「ボトリオコックスのオイルを黄色に染色した画像をみてもらうと分りますが、藻の細胞のスキマにオイルを溜めているのです」
山咲 「実際の生産量はどれくらいなんですか?」
井上教授 「培養株によりますが、乾燥重量の50~80%のオイルが産出されます。これは、トウモロコシや大豆にくらべると桁違いに多い生産量なのです。研究室の計算によると、年間約118t/haの生産量です。研究がうまくいって、生産量がアップすれば、日本の休耕地(30万ha)をすべてボトリオコックスのプールにすると、日本の石油の需要をすべてまかなえる計算です」
山咲 「え? ええええええ~~~?!! 今すぐ、日本の休耕地は、藻のプールにすべきですね」
井上教授 「すぐには無理です。藻のオイルは、石油の値段の数倍しますから、価格競争で負けてしまいます。原油は1リットル数十円ですが、ボトリオコックスでは、1リットルあたり155円かかります。石油が枯渇した場合は違いますが、今のところ、ボトリオコックスの価格をひと桁下げる実用化に向けた研究を行っています」
山咲 「具体的にどのような研究を行っているのですか?」
井上教授 「まずは有望な株を増やすことですね。オリンピック選手と同じで、才能のある子を見つけて育てていく。ボトリオコックスの中でも、いろいろと性質の違うものがいるので、最も効率よくオイルを生産できる株をみつけて、増やしていきます。また、品種改良などによって増殖の速度、オイルを生成する時の効率を上げて、価格競争に勝てるような研究を進めています。それから、藻のオイルは“石油の替わり”だけではないんですよ」
山咲 「さらに、いいことがあるんですか?」
井上教授 「化粧品の材料など、有用物質もつくります。また、藻のオイルをナノテク材料工学を応用した触媒で水素に変えることも考えられます。水素を燃料に燃料電池で発電します。発電時の電気は直流ですが、家庭に流れる電気は交流です。電気製品の中では再び直流に変換され、その変換によりおよそ18%のエネルギーロスが起こるそうです。電気を直流で供給することでエネルギーロスをなくし、効率よく電気を使うシステムの開発をめざしています」
山咲 「太陽光発電や風力発電に続く、エコな“藻オイル発電”ですね」
井上教授 「“つくば3Eフォーラム”から生まれた画期的なアイディアです。藻からオイルを生成し、水素を作り、燃料電池で発電します。発電で発生した二酸化炭素と熱は、オイルを作る藻の生成に役立てるというシステムです。この発電を太陽光発電や風力発電と組み合わせれば、地産地消の分散型エネルギー供給が可能になるのです。中国の奥地であれ、アフリカのどこであれ、電線のない世界のどこでも使用できるのです」
山咲 「壮大ですね~~。発生した二酸化炭素を、藻が光合成で使ってくれるところがニクイですね」
井上教授 「これは、藻類・微生物オイル生産工学とナノテク材料工学とエネルギー工学の3分野が融合した世界初の研究です」
山咲 「休耕地に藻のプールを作り、地産地消のエネルギーに藻を使えば、藻の光合成によって、日本の二酸化炭素量は一気に減りそうですね」


水槽

井上教授 「光合成だけではありません。他に汚水処理というメリットもあります。水槽にわざわざ栄養を入れなくても、汚水を使えばいいんです」
山咲 「え~~? 汚水ですか?」
井上教授 「藻は汚水の有機物を処理しますから、お金がかからず、環境も守るのです。今までエネルギーを作る事と環境を守る事は、相反することでしたが、藻は共生関係ができるのです」
山咲 「原子力発電は高レベル放射性廃棄物の地層処分で、候補地が決まらず困っているようですが、藻発電ならどこでもウエルカムですね」
井上教授 「穀類などをバイオマスエネルギーとして考えていたアメリカは、現在は藻に大きくシフトしています。藻類のもつポテンシャルを考えると、藻類エネルギーの開発は国家的急務といってよいでしょう。日本では、国も産業界もようやく藻類の重要性を認識しはじめたという段階にあります」
山咲 「もっと、藻のすばらしさを日本中に広めないといけませんね」
井上教授 「私は、藻の広報担当だと思ってますよ(笑)。研究者の中では、藻のことが広まってきましたので、今度は一般ですね」
山咲 「一般向けの広報なら、私もやらせていただきます!」
井上教授 「世界の将来は、“アルジー・ベースト・ローカーボン・ソサエティ(藻を基盤とした低炭素社会)”しかないと思いますね」

藻は地球の環境を作り、多様な生物を生存させました。そして、人間社会の最重要課題であるエネルギー問題の救世主となりつつあるのです。スゴイです! スゴ過ぎます! 

それでは、次回は食用藻について井上教授に伺ったお話を掲載します。お楽しみに☆


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